この記事ではこのベストセラー「入社1年目の教科書」を、
新入社員に成長して欲しい!
もっと高い成果を上げてもらいたい!
と考えられている管理職(マネージャー)、部下を持つリーダーの立ち位置にいる方向けに紹介します。
多くの管理職が抱えている課題
さて、まずは本の紹介に入る前に、新入社員の育成におけるよくある課題を整理します。
現状
例えばあなたがマネージャーとして、部下に
「この資料、微妙だから手直しして整えといて」
と指示したとします。
これに対して部下が持ってきた成果物が本当にただ色合いや文字の大きさを変えたりと、デザインの体裁を整えただけだったらどうでしょう。
確かに整えてとは言ったが、「何だか物足りない感」がありませんか?
これは、部下に
その仕事の目的やその先にあるもの
が見えていないからです。
つまり、言われた事のみを淡々とこなす
タスク消化
の状態にあると言えます。
これだと、せっかく部下が作って持ってきてもまた手直しが必要だったりと、結局工数が増えてしましまいます。
理想
では逆に、理想となる部下の姿とはなんでしょう。
それは、「目的意識」を持っている姿です。
具体的には、
「この資料、微妙だから手直しして整えといて」
と指示した際に、
これは何に使う資料ですか?
と聞いてくる姿勢です。
これは、自分の作業が何の為であり、その先にある何を期待しているのかを考えられています。
仮にこの資料が取締役会の提案資料であった場合、
どの年代の方でも見やすいように文字を大きくしよう
や、
カジュアルな言葉遣いをしている箇所は言い回しを丁寧にしておこう
など、資料の体裁を整えるだけでなく
取締役会で出した際に如何に見やすく印象の良い資料となるか
を考えて仕事をします。
解決策
まとめると、部下を成長させ仕事効率を上げるには
「タスク消化」の状態の部下に「目的意識」を持たせる
これが重要です。
そしてその為には、本人が自分の頭で考え行動する「主体性」を持つ必要があります。
図にすると全体像はこのようになります。
ただ、これを部下にそのまま
「主体的に目的意識を持って行動しろ!」
と言っても、結局の時やっている仕事に対しては目的を考えても、長続きはしません。
なぜなら、目的意識の有無を変えるには技術やスキル面ではなく、本人のマインドセット、つまり心構えを変える必要があるからです。
人の内面、考え方を変えると言うのは並大抵のことではありません。
また、やろうと思っても今までやってこなかった人間には具体的な行動指標が無ければ実行に移すのは難しいです。
そこで!
部下一人一人が「主体的」に動く為の心構えが身につき、その後の行動指標までが体系的に身に付く本が、
こちらの「社会人1年目の教科書」です。
「主体性」が身に付く3つの指標
この本には、仕事をする上での3つの原則と50の指標が載っています。
その中から、特に「主体性」が身に付く3つの指標を厳選して紹介します。
会議では新人でも必ず発言せよ
この、「会議では新人でも必ず発言せよ」では、若手だからこその新鮮な目線という付加価値の重要性について書かれています。
あなたは、会議での新人の発言に何を求めていますか?
あなたを超える分析能力や問題解決能力でしょうか。
きっと違うと思います。
経験を重ねたベテランはこれまでの経験値をもとに出来る出来ないの判断をしますが、その際、思い込みに落ち入り可能性を潰してしまう危険があります。
そこで、若手ならではの思い込みのない素直な目線を伝えることの大切さが生きてきます。
また、若手側からすると、
自分よりも偉い人たちしかいない会議で自分の意見なんて求められてないよな…
という勘違いを払拭し、自分でも主張していいんだと思えるマインドを身につけられる章でもあります。
「何のために」で世界は変わる
この指標は、「目的意識」に直接働きかけます。
課題提起のところでも触れましたが、上司が部下に対して
「これを5部コピーしておいて」
と指示をするのは、決してコピーするのがゴールではなく、その先にあるコピーしたものを使った商談などを成功させることが目的です。
つまり、上司からのオーダーはプロジェクト全体から切り出した一部なのです。
どんな単純作業でも、仕事が持つ意味や背後にある大きな目的を意識することの大切さが、多角的に解説されています。
この指標を意識して行動させることで、アウトプットの質が向上し、営業の場合受注率upに繋がります。
50点で構わないから早く出せ
3つ目の指標ですが、これは意識を学生から社会人に切り替える際に非常に重要です。
僕自身も含め、新人のうちは課題提出となるとなんとしても100%に仕上げてから提出しようと考えます。
それ自体が悪いわけではないですが、それだと一人で抱え込んで時間がかかってしまったり、誤ったアウトプットになってしまったりと無駄な時間と労力を費やしてしまいます。
新入社員がなぜそれをしてしまうかというと、学生の時は試験や受験を誰にも聞かず自分一人の力でやらなければいけなかった為、一人でなんとかしなければいけないというマインドになっているからです。
学生時代に勉強をきちんと頑張っていた人ほどこの傾向にあります。
しかし社会人ではタスクを独力でやりきる力より、周りの人や物など使えるものは全て使い、何度もFBを受けて、より早くより質の高い成果を出すことが求められます。
しかし、新人のうちは中途半端な成果物を報告すると
怒られるんじゃ無いか…
自分の評価が下がるんじゃないか…
などの不安があるものです。
そこでこの本では、これらの考えを払拭するための考えが2つ記載されています。
それがこちら。
- 上司の仕事は部下の力を引き出してより良い成果をあげる事
- 提出をゴールと考えるのではなく、最初のFBをもらう機会である
これらを考えとして持っているだけで、新社会人は圧倒的に周りへの相談がしやすくなります。
成長する上で大事なのは、
多くの経験を積み、質の高いPDCAをより短いサイクルで回す
という事です。
この本から得られる他の心構え
少し前にも書いたように、この本には3つの原則と50の指標があります。
今紹介した「主体性」以外の、この本で身に付く特に重要な3つ力と、そのための行動指標を一部抜粋しました。
素直さ
自分に向けられた指摘や、頼まれた仕事に意義を感じられずに遣り遂げられ無い人が、自分の仕事に対して意味を見出し、尚且つ付加価値をつけようと思える心構えを得ることが出来ます。
当事者意識
直接自分に振られた仕事でなくても、
これによって自分の部署にはどんな影響があるんだろう…
と自分事化して考える力と、それの養い方について書かれています。
コミュニケーション能力
このコミュニケーション能力とは、友達と楽しく話せるような能力ではなく、相手の話を整理して要点を押さえながら聞く傾聴力や、他の人に分かりやすく伝える要約力などのビジネスで使える能力です。
これらの重要さが学べる他にも、実際に身につける具体的な学習法も記載されています。
この本の活用
ただ本を渡すだけでは人はなかなか変わりません。
特に技術面ではなくマインドや心構えを変えようと思ったら、定着するまでにはそれなりの時間がかかります。
そこで、この本を実際にグループでどう活用するかについて、その一例を紹介します。
1on1の実施
これは、マネージャーと部下が1対1で話す時間が取れることが前提です。
その人が持っている課題は一人一人違うため、その人がより意識するべき指標を、この本の中から話し合って決めます。
実行にエネルギーを使うようなものであればまずは一個から決め、それを1ヶ月意識しながら仕事をします。
そして1ヶ月後、自己評価とマネージャーからのFBを踏まえ、遂行できていたかどうかの振り返りをし、これを定期的に繰り返すことで、徐々に定着していきます。
定期的なグループ会でお互いに振り返る
逆に、マネージャーと部下との振り返りではなく新入社員同士でFBをし合うのも効果的です。
チーム全体での課題とする指標を一つ決めるか、もしくはお互いにお互いの課題を話し合ってもらい、それぞれの社員にあった課題を決めます。
一定期間後に最後お互いにFBしあう時間を作り、お互いについて振り返りを行い、内省を深めます。
これも当然一回やった程度では定着はしづらいので、定期的に行います。
チームで共通の課題指標を作る事のメリットで、チーム全体での共通の心構えができメンバーが同じ方向を向いて進めるというのがあります。
これはチームが一丸となって成長するのにとても効果的です。
また、それをグループのバイブルとして共通言語化する事で、上司の全体への指摘を各自が同じように解釈し受け止めるようになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
まず今回の記事では、マネジメントの課題として
タスク消化になってしまっている部下を主体的にさせる事が必要である
というところに着目しました。
そして解決策として、その心構えと行動指標が体系的に分かりやすく学べるの「入社1年目の教科書」を提案しました。
この本の内容を習慣づける事で、部下が主体的に行動でき、将来的にはあなたの期待を超えられるような理想の部下へと近づいていきます。
この本を既に読んだ事のある方、少しでも「改めて読んでみたくなった」や「自分のグループでつかってみたい」など感じた場合、ぜひご検討ください。
読んだことのないかた、一度手にとって読んでみてください。
すぐに部下に渡して読んで欲しくなります。
正しく使う事で、グループ全体の心構えをよりいい方向に統一でき、この本が10年以上売れている理由が分かるはずです。
以上です。
ご精読ありがとうございました。
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