僕は約半年間、マルチ商法をやっていました。
マルチ商法と聞くと
え、やばくない…?
それ法律的にアウトなんじゃないの?
と思う人も少なからずいると思います。
ですが、実際にはマルチ商法自体は合法であり、それに良く似た「ネズミ講」や「悪徳マルチ」などが違法のビジネスにあたります。
しかし、マルチ商法自体は合法のれっきとしたビジネスモデルなのにも関わらず、どうしても悪い印象が横行しています。
ちなみに実際に経験した僕ですら、もう二度とやりたくないビジネスです。
では、どうしてこんな事になってしまうのか。
それはマルチ商法を行う事で起こる「トラブルの数々」に原因があります。
合法なのになぜトラブルが起きるのか
やっている本人には悪意が無いケースがほとんど
マルチ商法は違法な事をしている訳では無いのにトラブルが耐えません。
しかしまず初めに把握してほしいこととして、ほとんどのマルチをやっている本人には全く悪意がありません。
むしろ、本気で相手の為を思ってやっている人も少なくありません。
だからこそ、分かり合うことができずに人間関係にヒビが入りやすいのです。
マルチの会員になるとどうなるのか
Wikipediaにて、「マルチをしている人(組織)の状況」が的を得て解説されている記事を見つけました。
合法であるはずのマルチ商法でトラブルが起こってしまう原因の根源はここにあると言っても過言ではありません。
以下が一部引用した文章です。(色は後付け)
ネットワークビジネス(マルチ商法)の集団は、前向きな心的態度を活用する「積極思考」(ポジティブシンキング)を信奉し教化する特殊な集団であり、成功も失敗も完全に自分次第であるという究極の自力信仰でもある。
現代人の「自分探し」欲求に強烈にアピールする魅力があり、経済的成功の夢で、会社での地位が低い男性や虚無感を抱える主婦などを強く惹きつけている。
昔から「宗教のようだ」という批判・指摘があり、参加者全員が成功するという実現しえないことをグループ全体で信じていることから白眼視され、参加者は信者のようだと評されている。
定期的に成功者の表彰と成功談のスピーチが行われ、士気が高められる。
夢をかなえようと情熱を注ぐほど外部からは冷たい目で見られ、さらにグループ内のつながりは強くなっていく。
一生の仕事にしようと決心して参入しても、多くは2年以内でほとんどの人が辞めている。ウィキペディア(Wikipedia)
前向きな態度が成功をもたらし、それは誰にでもできるというメッセージは、内部に存在する不平等を覆い隠し、経済的成功の夢の実現性の低さが、社会との緊張をもたらす要因になっている。
つまり、組織内部での結束が異常なほどに高まってしまうせいで視野が狭まり、組織の事しか見えなくなってしまう。
正に「宗教」のような状態になってしまう訳です。
周りから非難されても聞き入れなくなる
これらのように
- 本人には悪意がない
- 宗教のような洗脳状態になる
などの理由から、どうしてもマルチをやっていると大事なものが見えなくなってしまいます。
例えばそれは友達であったり家族であったり…
どうしてもマルチ組織の人達の間での結束が強くなりすぎて、自分と友達や家族などの関係や助言にまで考えが回らなくなってしまいます。
当然自分の周りの人たちからは
そんな事やめろよ
と非難されることになります。
しかし、なかなかその声は届かないので、いくら強く訴えかけてもその人が辞めることはほぼありません。
それどころか、むしろ先ほどの引用文にあったように、組織の人に相談して励まされる事で更に結束が強くなっていきます。
本当に洗脳や宗教の類と全く同じです。
では、ここからは実際にどのようなトラブルが起こるのかを解説していきます。
大きく分けて2種類のトラブル
人間関係のトラブル
マルチによって起こるトラブルには大きく分けて2種類があり、まず一つ目は「人間関係のトラブル」です。
これは、先ほどまでの内容と深く関わる部分です。
マルチ組織に加入している人間は、その組織内部の結束の強さから、組織外部の友人や家族の声が届きづらくなります。
なので、
自分がこの人を勧誘することは正しいこと
という思考から抜け出す事が極めて困難になります。
そのせいで、強引で無理のある勧誘を仕掛けたり、相手が嫌がっている事に気づかなかったりします。
そうなると当然、人間関係に歪みが生じる事になります。
この勧誘相手が自分とあまり関係のない人ならまだマシです。
自分の友人や知人に勧誘を仕掛けた上で、このような人間関係のトラブルを起こしてしまうと、最悪友人を失う事に繋がります。
それに、
〇〇って最近マルチ勧誘やってるらしいから、声かけられたら気をつけた方がいいよ
などの噂が立つ事もあるあるです。
なので結局稼げても、気づいたらお金よりも大切なものを失っている事がほとんどです。
金銭関係のトラブル
そして2種類のうち二つ目は「金銭トラブル」です。
マルチ商法はその性質上、誰かを勧誘する際、入会と同時にまず多額の入会金(又は商品の購入)を支払わせます。
なので、絶対にお金が絡む訳です。
しかし、甘い言葉や冗談に乗せられて入会してしまったものの、実際にやってみたら稼げなかったり、思ったものと違うということがあります。
この入会金が2万や3万という額だったらそこまで大きなトラブルにはなりずらいのですが、組織によっては何十万という額を払わされるところが多いです。
自分のところも40万を超える大金を、借金させてでも初めに払わせていました。
なので、
言ってた内容と違うじゃないか!
金返せ!!(ニャー)
というトラブルに発展する訳です。
また、組織によっては「月額制で商品を購入する」と「入会してから◯ヶ月間は抜ける事が出来ない」と言う条件が掛け合わされているところもあり、結局合計すると物凄い大金を払わされる。なんて事もあります。
それでも抜けられない落とし穴
自分が危ない橋を渡っている事に気づく
マルチをやり続けた後に、何かの拍子に自分がよくない事をしていたと言う事に気づいたとします。
しかし、それでもなかなか直ぐにはマルチを辞める事が出来ないでいる人もいます。
その主な理由も紹介していきます。
収入源をマルチに絞っている
マルチにどっぷりハマってしまっている人というのは、視野が狭くなっている事が多いので、収入源をマルチだけに絞っている人がほとんどです。
なので急にそれを辞めると収入源がなくなってしまい、そのせいで急には辞める事が出来ないと言う人もいます。
元の仕事に戻れない
また、マルチ商法というビジネスは、当然普通のサラリーマンの働き方とは全く違います。
サラリーマンは朝早くから時間に縛られ、上司には怒られ、周りの目を気にしながら、淡々と言われたことをこなしていく事が多いです。
その反面、マルチというビジネスは、組織の上の人間が会員を持ち上げる事で成り立っています。
どういう事かというと、マルチ組織が拡大する為には、組織の末端の方にいる人間に熱中してもらう必要があります。
増えていく組織の人間それぞれが更に新しい会員を勧誘する事で、ねずみ算式に組織が拡大していくのがマルチの理想の形です。
なので、基本的には組織の上の人は会員を褒め、楽しませ、メンタルケアやミーティングに時間を裂き、会員を逃さないように必至な訳です。
つまり、会員からしたらとても居心地がいい空間なのです。
なので、そんな職場(?)で活動してきた人間が、いきなり普通の会社で働こうとしても、居心地の悪さを感じてしまいがちです。
周りからの圧力
先ほどの話の続きですが、組織の人間は会員を逃さないようにとひたすら甘やかします。
しかし、いざ辞められるとなると話は別です。
いきなり高圧的な態度で会員を脅し、
今までお前に裂いてやった時間はどう責任取るんだ
などと、よく分からない事を言い出します。(実体験)
まぁ、こんな事をする組織は少数でしょうが、この圧に耐えきれずに辞められないという人も一定数います。
まとめ : 百害あって一利くらいしかなし
確かに、マルチで成功している人がいるのもまた事実ではあります。
しかし、そんなのはトップや幹部のみです。
つまり、「勧誘されて入会する」という手順を踏んでいる時点で既にアウトです。
実はこのようなビジネスは、短期的に大金を稼ぐことは実は簡単だったりします。
自分も、月単位で見ればアルバイトを頑張ってもなかなか稼げない額をマルチで稼いだことはあります。
ただ、長期的な目線で稼ぎ続けるというのが非常に難しく、年単位で見ればアルバイトの方がよっぽど稼げた。なんて事がほとんどです。
むしろ、セミナーやパーティーなど、会員としての維持費で赤字になることもしばしば。
ただ、一度成功報酬が入ってくると、それが病み付きになってどんどんハマっていき、結局振り返ってみると借金までして大赤字になっていた…
なんて、ギャンブラーの末路みたいになる人も沢山います。
もし甘い言葉で勧誘されても、安易に近づかない事をオススメします。
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